糖質制限しているのに、効果が感じられない・・・。
むしろ体重が増えている…!?
摂取カロリーが減っているはずなのに、なぜ?
今回の記事では、糖質制限をしても効果が出ないパターンについて解説していきます。
栄養指導をされている栄養士さんへ
ここでは代謝の仕組みを理解し、症状から原因を正しく見極める栄養指導スキルをお伝えします。
糖質制限って、そもそも何?
数年前から定番の食事方法となった「糖質制限」。
コンビニでもスーパーでも、低糖質商品を多く見かけるようになりました。
糖質制限をすると痩せる、一気に体重が落とせる、という評判が広まり、あっという間にブームになった食事方法。
なぜ痩せやすい食事方法だと言われるのかというと、栄養の燃焼順番は、
炭水化物→脂質→たんぱく質
なので、炭水化物を制限すれば、脂肪が燃焼されやすくなるから体脂肪も燃える、と考えられるから。
実際に、するっと痩せられた人もいらっしゃると思います(リバウンドの有無は加味していませんが)。
しかし、実際は考え通りにはいかず、「糖質をとらないとエネルギー切れしてもたない……」「いくら糖質制限しても、脂肪燃えやしない……」という声も溢れています。
なぜなんでしょう?その理由について考えていきましょう。
脂肪がエネルギーに変わる仕組み
脂肪酸は、「β酸化」という過程を経て代謝され、このβ酸化では「ビタミンB2」がたくさん消費されます。
それを示したのが上の図です。脂肪酸の代謝ではビタミンB2が数多く利用されていますよね。
ということは、以下のような原因が見えてきます。
糖質制限で効果が出ない人
①ビタミンB群不足
脂肪をエネルギーに変えるために必要な材料である「ビタミンB群」が不足することで、脂肪の代謝がうまくいかず、脂肪をエネルギーに変換できない。それがゆえに、糖質制限で効果が出ない、という状態になります。
脂肪も糖質もエネルギーにできない、となると、エネルギー不足になり、身体はまさに飢餓状態に。
それがさらに糖質制限で成果が出ない結果に拍車をかけます。
②甲状腺ホルモンの低下
実はビタミンB2(リボフラビン)って、このままでは身体の中で働くことができないんです(非活性型)。
ビタミンB2(リボフラビン)は、甲状腺ホルモンの助けを借りて「FAD」「FADH」という活性型にしてから体内で利用されているのです。
といっても、実は甲状腺ホルモンはいつでもだれでも必要量だけ分泌されているわけではなく、うまく分泌されていない人もいるのです。
それが、以下のような方々たち。
✓ 糖質に偏った食生活を長くしてきた(うどんだけ、ごはんと野菜だけの食事など)
✓ ダイエットを繰り返して低栄養・低エネルギー状態
疾患として名前がつくほど低下していなくとも、栄養学的に見ると甲状腺の機能が低下しているケースは女性に多く見られます。
ビタミンB2不足にも関わらず、糖質制限を無理やり続けた場合も、低栄養&低エネルギー状態になるため、甲状腺機能が低下しかねません。
上記に当てはまるうえ、糖質制限をしても効果が得られない(続かない)場合は、甲状腺ホルモンの働きが低下している可能性があります。
糖質をいくら制限しても痩せないし、脂質からエネルギーが作れないので健康効果を得られないという場合は、①ビタミンB群不足、②甲状腺ホルモンの低下を考えてみてくださいね。
糖質制限で効果が出ない人への対処法
これらのタイプの方は、
1.甲状腺ホルモンの回復
2.ビタミンB群の補給
は必須だと考えています。
ということは、「食べない」より「食べる」が必要。
つまり、三大栄養素=「ご飯+肉魚卵大豆製品+油」が最低限必要で、それらの「バランス」が大事なんです。
特に甲状腺機能を回復させるには、今までの低エネルギー状態から一刻も早く解放してあげることが大切だと言われています。
三大栄養素なんて、当たり前のことじゃん。
そう思ったかもしれません。
そうなんです。誰でも知っている当たり前の食事方法。そこをきちんと押さえているか否かが、健康にも美容にも重要だと感じます。
誰もが知っている当たり前のことを、当たり前に行い続けること。
これが食事療法を上手く行かせるための最大のポイントです。
根性で糖質を我慢するよりも、食事のバランスを整えることから、見直してくださいね。
当たり前のことを当たり前に行える人は、最強です。